デジタルファッションとは何かを、様々なクリエイターや企業と探求するリレーインタビュー企画。第一弾は、幅広いクリエイティビティで日本のデジタルファッションを牽引するブランドDéracinéさん。中編では新作のコレクションへかけた想いやコンセプトについて伺いました。
新作コレクションに込められた想いとは
Q.最新のコレクションについてお聞かせください
伊藤さん:
今回のコレクションは2つのテーマを組み合わせたんですが、1つ目が妖怪、2つ目のテーマとして職人さんの服を組み合わせて作っています。妖怪は日本とかアジアに見られるような奇妙だけど愛嬌があって、キャラクターに変換されたりしてるような、ポップな魅力をイメージしています。
![新作コレクションの制作秘話ーデジタルファッションブランド・Déracinéインタビュー[中編]](https://images.microcms-assets.io/assets/db7b20d9ce324de1b388f21c2e60b4c1/cac839ec9d7f46c4a63302c82b0b5c05/3_Deracine_KV_2800_2100.jpg?w=674&fm=webp)
![新作コレクションの制作秘話ーデジタルファッションブランド・Déracinéインタビュー[中編]](https://images.microcms-assets.io/assets/db7b20d9ce324de1b388f21c2e60b4c1/016db8dcd40b465f89963e140d28dba9/deracine_interview_flah.png?w=674&fm=webp)
デニム素材のダメージを表現するマテリアルを作ったりとか、人工的なシワを入れたりしてるのは作業着のようなイメージです。ジャンパースカートはハンマーで叩いたような鉄のメタルっぽい部分があるんですが、これは、金工の職人さんのイメージで、こうパンパン叩いた後みたいなテクスチャーを入れたりしています。今回のコレクションはAR向けなので現実の服とコーディネートしやすいようにデザインしています。それは僕らがずっと意識していることで、やっぱり身体を全部デジタルファッションで覆う作品っていうのが重く感じることがあります。
今回のコレクションでも隙間を作る、あるいはパーツのように付けるっていうのがすごく合いやすいのじゃないかなって思っています。一部を覆うとか、一部につけられるアイテム的なイメージでデザインしました。
―リアルファッションとコーディネートできるという合せが、もうデジタルだけではなく現実とあのデジタルが本当に合わさったアクセサリー感覚ですね。
柔らかい素材のリアルファッションに対して、固いメタリックなデジタルファッションを合わせると、アクセサリーっぽくコーディネートできるのではないかと思います。
![新作コレクションの制作秘話ーデジタルファッションブランド・Déracinéインタビュー[中編]](https://images.microcms-assets.io/assets/db7b20d9ce324de1b388f21c2e60b4c1/9ec0d00dafca434ba30b89f58bae1ef8/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%9B%E3%82%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%99%201350.png?w=674&fm=webp)
プロフィール 伊藤良寛/塚越智恵
両者ともロンドン芸術大学Chelsea College of Art & Design ファインアート学科卒業。2021年デジタル上での新しいファッション体験を提案するブランドDéracinéを設立。
テーマ設定秘話
Q.「妖怪と作業着」結構結びつかない2つですが、どのように選びましたか?
塚越さん:
正直に言うと、本当になんとなくなんですよ。今までのコレクションも、なぜこれとこれを組み合わせたのか?っていう理由はあんまりなくて、かなりランダムなんです。ただ、これとこれが組み合わさったら面白そうだな、という気持ちはあるんですけど、これとこれを組み合わせたらこういう意味が生まれる、みたいな設定は設けていないです。むしろ、明確な狙いがない方が化学反応が起こりやすいのかなって思っています。
![新作コレクションの制作秘話ーデジタルファッションブランド・Déracinéインタビュー[中編]](https://images.microcms-assets.io/assets/db7b20d9ce324de1b388f21c2e60b4c1/8d163ed86f5749c8bb7ebcbca410028e/2_Deracine_KV_2800_2100.jpg?w=674&fm=webp)
―先ほどのゴシップとキャンプみたいな正反対の掛け合わせというか
塚越さん:
そうですね。先ほどお見せしたカテゴリー1が決まったあとに、2人で色々候補を出し合って、これとこれだったら無関係だし面白そうだね、みたいな感じで結構決めていますね。
―面白いですねやっぱり2人でやってる意味も生まれてるのかなって感じます
伊藤さん:
テーマにこだわりがないからこそ、あんまり言い合いになることもないですし、割と客観的にこのカテゴリーだからこのテーマだよね、っていう感じで話が進むことも多いです。
塚越さん:
しかも自分たちの趣味とか詳しい分野から出したテーマじゃないことの方が多いので、あとで割と後悔します。
―調べないといけないですもんね
塚越さん:
そうです、作り始めてなんかネルシャツしかなくない?笑みたいになったりとか。
伊藤さん:
今までにやったテーマはやらないようにしています。フットワークを軽くして色々なテーマに挑戦して、まさに根なし草のように転々とデザインすることを大切にしています。
Q.テーマを設定するときに影響を受けていることはありますか?
伊藤さん:
過去の伝統とかをリサーチすることが多いので、そういう意味ではそのテーマの起源というか昔の民族衣装や絵画とかをリサーチして起源に戻ったりっていうのは必ずやりますね。毎回2つか 3つテーマ立ててリサーチするんですけど、今ちょっとやろうとしてることは、この2つのテーマをAIに学習させて組み合わさったイメージを出す、リサーチの深さをAIにゆだねるっていうのはちょっとやってみたいなと思って。プロセスにAIを混ぜていくっていうのはやってみたいなと思ってることなんですよね。
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