Cultivate
2024.10.29

CGアーティストという道、デジタルファッションとの出会い -CGアーティスト・フジモトタカシさんインタビュー

Table Of Contents

01
CGアーティストになるきっかけ
02
作品作りについて
03
デジタルファッションとの出会い

インタビュー企画Vol.1でお話を伺ったDéracinéさんから、お仕事でもご一緒したことのある、CGアーティストのフジモトタカシさんにインタビューのバトンを渡していただきました。インタビュー企画Vol.2は、CGアーティストとして幅広く活躍する、フジモトタカシさん。

プロフィール フジモトタカシ

東京を中心に活動する、 デジタルクリエイティブクルーOFBYFOR TOKYO所属の3DCGアーティスト・レタッチャー。京都の芸術大学を卒業後、都内の写真スタジオに就職。 その後、レタッチ会社・空撮映像会社を経て、2019年独立。 現在は、培ったレタッチテクニックと独学で得たCG技術を掛け合わせたビジュアル表現を強みとして、 ファッション・音楽・広告領域と幅広い分野で活躍。主な実績として、KingGnuのアーティスト写真レタッチ、MIYAVI “Imaginary” “New Gravity”におけるCG制作、 Perfume 「Flow」ジャケットのCG制作、Onitsuka Tiger x 金子眼鏡のCG制作などがある。

CGアーティストという道、デジタルファッションとの出会い -CGアーティスト・フジモトタカシさんインタビュー

レタッチャーとしてキャリアをスタートさせた、フジモトさんがなぜCGアーティストになる道を選んだのか。CGアーティストを初め、デジタルファッションとの出会い、デジタルファッションに感じたこと、その未来にについて、お話を伺いました。

CGアーティストになるきっかけ

Q: フジモトさんが、CGアーティストになるきっかけはどういったものだったのでしょうか?

フジモトさん:

キャリアのスタートは、撮影スタジオのスタジオマンとして働くことでした。その中で、レタッチャーという職業に触れる機会があり、直感として、自分は写真や映像を撮るより、編集する方が好きだと感じ、レタッチャーとしてのキャリアをスタートしました。レタッチは写真が中心でしたが、映像にも興味があり、映像の編集にも関われる会社で働くようになりました。映像や写真のレタッチは基本的に素材があって、それを編集するのですが、その素材自体も自分で作れるようになりたいという気持ちがずっとありました。素材から作る手段としてCGという表現手段があるのはわかっていましたが、敷居の高いものに感じていましたがいつかやりたいなとずっと考えていました。そんな時、blenderのバージョンの変更によりUIが代わり、使いやすくなったことでCGを作ることをはじめました。それがちょうどコロナの頃でした。

Q:レタッチャーからCGアーティストに転身した方を聞いたことがないのですが、周りにそういった方はいたのでしょうか?

フジモトさん:

いないですね。笑知り合いには、フジモンって変だよね、と言われることがあり、そう言われた時に珍しい経歴なんだな、と気づきましたね。ただ、レタッチャーも極めていくと素材をベースにした編集という枠を超え、0から1を生み出す力がついてくると思っています。レタッチャーの仕事は、基本的には1を10にするような仕事が多いです。CGでの作品作りをはじめ、ずっとやりたいと考えていた0から1を作ることしていますが、レタッチャーとして培ったものの延長線上に、今のCGアーティストという道があったんだと思います。

Q: CGアーティストを目指す中で最初にしたことはなんですか?

フジモトさん:

最初はCGの作品を作り、それを知り合いに広めることや、SNSで作品を投稿することから始めました。ポートフォリオと呼ぶようなものというより、こんなものを作っているので見てください、という感じでこれまでの繋がりのあった方に作品を見てもらいました。それを続けていく中で徐々に仕事をもらえるようになっていきましたね。今では法人化し、チームを組んで仕事をすることが増えてきました。

CGアーティストという道、デジタルファッションとの出会い -CGアーティスト・フジモトタカシさんインタビュー
フジモトタカシ( OBF TOKYO ) @fujimoto0927より

作品作りについて

Q: 作品作りをする上で大切にしていることはどんなことがありますか?

フジモトさん:

作品としてはフォトリアルな作品を作ることが多く、美大に通っていた頃から写実系のデッサンや油絵などフォトリアルな作品を作っていました。今でもそういったテイストの作品は好きです。見ていて気持ちいい質感や、ライティングというのは、無意識の中でこだわっているのかな、と思います。最近は、Houdiniというソフトウェアを勉強していて、やりたいことができるソフトに出会えたという感覚があります。Houdiniを触るようになって、改めて自分はシミュレーション系のアニメーションを作りたいんだな、とわかりました。

CGアーティストという道、デジタルファッションとの出会い -CGアーティスト・フジモトタカシさんインタビュー
フジモトタカシ( OBF TOKYO ) @fujimoto0927より

デジタルファッションとの出会い

Q: CGアーティストとして活動をスタートして、デジタルファッションに触れたものはどんなものがありますか?

フジモトさん:

自主制作で洋服着せたモデルを動かす作品を作っていました。人間のモデルに服を着せる作品は、CG制作の中でハードルが高いのですが、そういったことをやっていたから、Rakuten Fashion Week TOKYOの仕事も受けることができたと思っています。

CGアーティストという道、デジタルファッションとの出会い -CGアーティスト・フジモトタカシさんインタビュー
フジモトタカシ( OBF TOKYO ) @fujimoto0927より
CGアーティストという道、デジタルファッションとの出会い -CGアーティスト・フジモトタカシさんインタビュー
フジモトタカシ( OBF TOKYO ) @fujimoto0927より
CGアーティストという道、デジタルファッションとの出会い -CGアーティスト・フジモトタカシさんインタビュー
フジモトタカシ( OBF TOKYO ) @fujimoto0927より

仕事としてデジタルファッションに触れたのは、Rakuten Fashion Week TOKYOが初めてでした。

CGアーティストという道、デジタルファッションとの出会い -CGアーティスト・フジモトタカシさんインタビュー
フジモトタカシ( OBF TOKYO ) @fujimoto0927より
CGアーティストという道、デジタルファッションとの出会い -CGアーティスト・フジモトタカシさんインタビュー
フジモトタカシ( OBF TOKYO ) @fujimoto0927より

この案件の動き始めは服のCG作成と空間全体のCGパート含め全て一人で担当していました。しかし服のシルエットのコントロールがどうしても上手く出来ず、途中からDéracinéさんにジョインして頂いてデジタルファッションのパターンから、モデリング部分を担当して頂きました。そこから人物のアニメーションとそれに付随する服のシミュレーション、レンダリング部分はこちらで担当させていただきました。

Q:その時、デジタルファッションに対して感じたものはありますか?

フジモトさん:

シンプルにDéracinéさんの表現がすごいと思いました。ソフトを使いこなしているのもそうですし、服のパターンの知識があるからそれがデジタルに生かされていて、構造理解がしっかりしている。さらに物性の理解の深さが土台となっている表現に出ていて、素晴らしいものでした。ご一緒して、率直に思ったことはかっこいい、ということでしたね。

Q:デジタルファッションは今後どうなっていくと思いますか?

フジモトさん:

Déracinéさんが作っているような服が着れるようになると面白いと思う。素敵な表現を多くあるのですが、デジタルファッションを着た姿を見るためには、デバイスの準備が必要でどうしても敷居が高く感じてしまう。そういったものをクリアするためにARグラスを当たり前に付けて生活するような時代になれば面白いと思し、ワクワクしますね。

Q:フジモトさんが今後挑戦したいことはありますか?

フジモトさん:

いっぱいありますね。作りたいものリストを作っていて、どんどんストックしています。

Q:その中で、特に挑戦したいと思っていることがあれば、教えてください。

フジモトさん:

それでいうと、Houdiniを使ったクリエイティブで海外の展示に出したいですね。CGの限界を見てみたいというか、そんな挑戦はしたいと思います。

REALiTiES編集長|荻野 秀文

大学卒業後、接客業を経てCGデザイナーに。インテリア業界でリアリティのある生地表現やクロスシミュレーションを学んだのち、デジタルファッション業界にて3DCG開発をマネジメント。新規事業開発や市場調査を主導。趣味は椅子集め。
0